テラヘルツ分光とは
テラヘルツ分光とは、光と電波の境界の周波数であるテラヘルツ(THz)の電磁波を用いた分光計測手法です。
テラヘルツの定義と応用
テラヘルツとは、電磁波の周波数がTHzオーダーであることから、このような呼び方をされていますが、その定義としては研究者により多少の違いがあります。 従来の呼び方としては、遠赤外またはミリ波と呼ばれる波長域の一部になります。
このような呼び方があったにも関わらず、テラヘルツという新たな呼び方になった背景としては、領域としては主に遠赤外領域で光のように扱いながら、室温で簡便に利用でき、しかも電波のように電場強度の時間波形を観測することから、遠赤外と言うよりも電波のような扱いができることから、ラジオの電波のkHz、MHzという単位を用いたTHzという表現を新しい扱いの電磁波として呼び始めました。
したがって、我々の認識するテラヘルツという光は遠赤外とは異なり、電場強度の時間波形が直接観測される新しい計測手法を含めた意味合いを持ち、ミリ波とは、自由空間に試料を置くだけで簡単に計測できる光のような扱いができる新しい観測手法を含めた新しい光を意識しています。
もちろん、時間領域で観測する手法以外にもこの波長領域のレーザー等新しい手法もここ十数年で実用化されるなどにより、従来未開拓と言われていた波長領域で、様々な応用が期待されており、現在はこれら身近になった新しい光の総称として「テラヘルツ」という呼び方が定着しています。
この波長領域では、電波の特性の1つである透過性の良さと光の特性の1つである物質の同定の能力を備えており、様々な応用が期待されています。 また、電波と比較した時に波長が短く、電波では観測できない小さな大きさのものが確認できるということも特徴の1つになります。 さらに、エネルギー領域としては低い領域であり、分子間の結合(結晶形の変化や水素結合など)の状態を観測するのに適しています。
このような特徴から、様々な観測・評価への応用が期待され、医療や製薬、半導体のような産業分野、建築物の劣化評価などへの応用が期待されるだけでなく、水の状態の変化には高感度であり、生体への応用も期待されています。